飽和 春

キュルキュルカタカタと回り続ける床屋の古いトリコロールの筒、伸び放題のラベンダー、ガタガタとうるさい室外機、アスファルトに落ちる砂利を踏みつけた時になるキュイキュイという音、そういう、そういうものが全部、全部自分なんじゃないかと思って恐ろしくなる

疲れ果てた人が歌うそういう歌

うう

走る車の音、庭先に出て何かしている中年の女の人!

襟から覗くインナー

朝起きて捨てていないゴミ袋から、排水口から、生ゴミの臭い

人人人

根底の輪

火曜日の世界、一生ついて回る不安と虚脱感卒業式の帰り道に見た男の子のワックス女の子の美容院で巻かれた髪あいつ可愛い後輩に告られたらしいよ