虚空へ2

幸い私はこれまでの人生でさめざめ泣くほど他人から傷つけられたことは一度もない。本気で死にたいと思った事も一度もない。

 

これは幸福だ、一人で居たいと思えば一人にしてくれる、一人で生きているように過ごさせてくれる。人は一人じゃ生きられないなんて事も嘘のように感じる馬鹿な私を守ってくれる。見えない優しい誰かに守られている。自分の中の赤い動きも部屋の隅でうずくまる黒い塊も全部一人だと思わせてくれる。(本当に一人で生きたら私は1月と待たず路頭に迷う事になるだろう。)

 

見えないけれどそこにいる。だからとても不安になる。見えないあなたからも見えなくなっていませんか。私はここに居ます。優しさはもう充分いただきました。ありがとうございます。そろそろあなたが見たいです。守られるだけじゃなくあなたと対等になりたいです。傷つけないあなたから一番はじめの傷をつけてほしいです。見えないあなたがくれた時間の分だけあなたにお返したいです。見えないけれどそこにいてね。