アイノゥ

河童は可愛くなく黒く硬そうな皮膚に覆われていて白目のない目でこちらを見てきます

皿はあったかな、暗くてあまり見えなかったけれど頭のシルエットが何本かのトゲのように見えたから皿に見えないこともなかった。

河童は本当にいたんだ

河童がこちらを見た後発光しながら泳いで行きました私は空中から彼を観察します

「河童が白く発光しながら泳いでいても付いていっちゃいけないよ、奴らは集団で狩りをするからね、囮の1匹の周りに数匹泳いでいるからその数匹に引きずり込まれるからね」なるほど確かに白く発光して泳ぐ個体の周りに数匹の影が見える、私は空中に待機したまま河童を観察した、つまりここで私が高度を落としたりなんかしたらすぐに襲われるってことだろうと少し不安になった、この湖は古代ナンチャラ文明の水中都市への入り口らしい、彼らはさしずめ門番か住人だろう。しばらく湖の上空を飛び回りながら湖を光る河童が泳ぎ回るのを眺める、どうやら数匹ずつのグループになっているらしく広い湖に4〜5本の白く光るものが泳いでいる、結構幻想的だ、不意に湖の中心がきらめき、瞼が開くようにその光が広がる、河童たちがその光に集まり一斉に飛び込んだかと思うと光はまた瞼を閉じるように収縮し静寂な湖へと戻った、どうやら今日の狩りは終わりらしい、私は不安定な空中でそれを見てとても興奮していた、この世にUMAというものは確かに存在するという証明を私は掴んだのだ、まぁ、空を飛べる私もUMAの様なものかもしれないが、空を飛びながら次はどこに行こうと考える、私はなるべく地面に降りたくない、二度と飛べなくなる様な気がするからだ、私が次に地面に降りた時にこの奇跡の様な魔法が切れてしまう様な気がする、だから飛び立つ時はいつも不安だ、地面を蹴ってジャンプしてその軸で私を固定するバランスを取り高度を上げていくその一連の魔法が使えなくなる不安でいっぱいだけれど、飛べるのは楽しい、私の目的は世界中の爬虫類のUMAを見つけることだ、そうだ、あの湖はどこにあるかと言うと東京ディズニーランドにあるんだよ、ディズニーランドはあの河童を見ることのできる湖を特別なVIPに公開していて私はそれを空中から盗み見ていた、何人か飛ぶ私に気づいていたみたいだけれどまさか人だとは思ってなかったみたい、私は今日も夜空に紛れて空を飛ぶ

 

そこで私は目が覚めた

飛ぶことや重力がやけに軽くなる夢は昔からよく見るけれどここまではっきり飛び回れたのは初めてで楽しかった、昔は夜な夜な窓から隣の家へふわりとジャンプして次の屋根へ、また次の屋根へというふうにふわふわと夜の散歩をしていた、またこういう夢が見たいな、いつか急に重力が元に戻って地面に叩きつけられるんじゃないかという不安を抱えながら夜の空を飛ぶのはとても楽しい事です。